林業の仕事は、「木を育てる」ことと「木を活かす」こと、そして「森を守ること」のすべてを担っています。主な作業は、苗木を植え、森を健やかに育てる「造林・保育」、資源としての木材を伐り出す「利用間伐」、そして山の環境を整える「その他の業務」に分かれます。時期や現場の状況によって担当する作業は異なりますが、どれも山や地域の未来につながる大切な仕事です。
造林・保育
苗木を植える「植栽」、育成の妨げになる雑草を刈る「下刈り」、枝を間引く「枝打ち」、成長のバランスを整える「間伐」などを行います。これらの作業を通して、健全で質の高い森を育てていきます。若い木々が育つ環境を整えることで、将来の資源づくりにもつながる重要な仕事です。
利用間伐
利用間伐では、建築材や製品になる木を伐採し、山から搬出する作業を行います。伐倒した木を重機で集める「集材」、必要な長さに切る「造材」、そして運搬できる場所まで運ぶ「搬出・運搬」と、複数の工程があります。木材の価値を見極め、効率よく、安全に出材するための技術と判断力が求められます。
その他の仕事
林道や作業道の「開設・整備」、斜面での「高所作業」、被害木への「松くい虫防除」、台風や積雪などによる「倒木処理」なども大切な仕事です。自然災害や病害虫から森を守り、安全な山づくりを支えることで、地域の安心・安全にもつながっています。
マイナスイオンに満ちた森の中、木漏れ日が差し込み、小鳥のさえずりが聞こえる静かな環境。そんな自然に包まれた場所で働けることは、林業ならではの大きな魅力です。清々しい空気の中で体を動かしながら、季節の移ろいや自然の変化を肌で感じることができ、心も体もリフレッシュされます。
先代たちが手をかけて育ててきた森を受け継ぎ、さらに手入れをして次の世代へつなぐ――。その積み重ねが、やがて100年後の森を形づくります。自分の手で自然を守り、地域や社会に貢献できるこの仕事には、他にはない誇りとやりがいがあります。すぐに成果が見えるわけではないからこそ、未来の誰かの役に立っているという実感が、日々の原動力になります。
森林技術者の役割は、単に木を伐ることではありません。山の地形や森林の状態、周囲の環境までを見極めながら、数十年先の森の姿を見据えて作業を行います。一本の木を伐る判断にも技術と責任が求められ、危険と隣り合わせの現場では、安全意識の高さも欠かせません。自然と真剣に向き合い、次の世代に健全な森林をつなぐために、知識と経験を活かして森を守る。それが、森林技術者の大切な役割です。
森林技術者には、適切な木を見極める「目」と、安全かつ正確に扱う「技」が求められます。伐倒から造材、搬出、道づくりまで、森の成長に欠かせない一連の工程を担い、自然と向き合いながら作業を進めていきます。一本一本の木に向き合い、山全体の未来を見据えて働く――それが私たちの役割であり、誇りです。
山に入り、木を見て、考え、自分の手で伐り出す。そんな林業の仕事には、単調ではない一日の流れがあります。現場ごとに違う山の表情、木々の立ち方、天候の変化。そのすべてに向き合いながら、自分の頭と体を使って進めていくのが、この仕事の醍醐味です。毎日同じように見えて、同じ日はひとつとしてありません。山で働く毎日には、自然のリズムに寄り添った働き方があります。
8:15 現場に集合・準備・打ち合わせ
朝は現場へ直行。
装備を整えながら、今日の作業内容や安全確認などを班で共有します。山の状況を見ながら、それぞれの作業の段取りを立てていきます。
8:30 持ち場へ移動・作業開始
伐採する木を自分の目で選び、どう倒すか・どう出すかを自分で考えて動く時間。
現場は同じでも、木は一本一本違います。自分の判断で、集中して作業に向き合います。
12:00 昼食・休憩
作業を止めて、みんなで一斉に休憩。
安全の確認も兼ねながら、ほっとひと息つく大切な時間です。天気のいい日には、山の空気の中で食べるお弁当が格別です。
13:00 午後の作業再開
午後も引き続き、伐採や集材、重機作業などを行います。
集中力を切らさないよう、それぞれのペースで無理なく進めていきます。
16:15 片付け・撤収準備
道具や重機の整理、作業後の点検などを行います。
次の作業に支障が出ないよう、丁寧に整えてから山を下ります。
16:30 終業
すべての作業が終わったらそのまま帰宅。
暗くなると危険なので日没前には作業を終えます。
自然とともに動く、無理のない働き方です。